2006年12月21日
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さらば宇宙戦艦ヤマトの白色彗星駆逐艦隊の戦法は日清戦争時の日本艦隊の戦法であるか?

Written By: トーノZERO連絡先

 道を歩いているときに、ふと思いついたのでメモします。

 さらば宇宙戦艦ヤマトのデスラー対ヤマトの戦いは、実は多重的な構造を持っています。

 ここで注目されるのはたいていの場合デスラー戦法です。ドメルの戦い方がなぜデスラー戦法なんだよっっっ!という突っ込みが発生するのがお約束ですね。

 しかし、それによって見落とされがちなことがあります。

 実は、この駆逐艦隊は、駆逐艦らしい戦い方をしていないのです。

駆逐艦とは何か? §

 駆逐艦とは、本来は水雷艇を駆逐する艦です。

 第2次大戦頃の駆逐艦のイメージとしては、防御力はないが小さく高速で、大型艦すら撃沈できる強力な魚雷を搭載した艦です。つまり、小さく脆弱だが、戦艦すら撃沈しうる力を持ったハイリスク・ハイリターン型の艦種です。

 ヤマトというシリーズの中においても、このイメージは取り入れられています。たとえば、冥王星海戦において、古代守の指揮する駆逐艦ゆきかぜは、魚雷をイメージしたと思われるミサイルによって、「敵ミサイル艦」を撃沈しています。これは確認できる限り、この海戦で地球防衛艦隊が沈めた唯一の敵艦です。

 ところが、白色彗星の駆逐艦は、回転式の砲塔から連続して発射される速射砲を使うだけで、大型艦すら撃沈できる必殺のハイリスク・ハイリターン兵器を使いません。

 その点で、この駆逐艦は、駆逐艦らしくないのです。

しかしヤマトはピンチに追い込まれた §

 必殺兵器を欠いた白色彗星の駆逐艦は、ならば弱いのかと言えばそうではありません。事実として、ヤマトの全兵器使用不能という状態まで追い込んでいます。当然のことながら、全兵器が使えなくなった戦艦に、もはや戦艦としての仕事はできません。戦場から後退して修理を行うしかありません。その間、敵はヤマトのことを一切考えることなく、自由に行動できることになります。そして、たいていの場合、そのような期限を切られた自由があれば十分です。

 では、ヤマトをここまで追い込んだ敵がどれほどあるかというと、実は多くないのです。あえて見てみると、冥王星の反射衛星砲のような特殊な兵器、ガルマンウルフのような特殊能力を持った艦などが目に付きます。強いて普通の艦がヤマトをピンチに追い込んだ事例を見てみると、ドメル艦隊ぐらいしか思いつきません。ここで、瞬間物質移送機があるのは白色彗星駆逐艦の事例と同じとして、特殊装備にカウントしないことにしましょう。

 すると、驚くべき結論が出てきます。

 白色彗星の駆逐艦隊は、ガミラスの最強空母4隻+ガミラスの最強知将ドメルに匹敵する成果をたたき出したのです。いかに新型とはいえ、白色彗星艦隊の主力ですらない小型艦部隊が、ガミラス最強の艦隊に匹敵したのです。

 いや、ドリルミサイルの存在を特殊兵器にカウントすれば、それに頼っていない白色彗星の駆逐艦隊は、ドメル艦隊以上と言えるかもしれません。

 必殺兵器を持たない駆逐艦隊が、なぜそれほどの成果を出せたのでしょう?

日清戦争での連合海軍の戦い方 §

 さて、ここからが本題です。

 日清戦争では清国海軍と日本海軍が戦っています。

 このとき、清国には定遠、鎮遠という大型の戦艦があり、日本にはそれに対抗できるだけの戦艦がありませんでした。

 しかし、日本海軍は勝利しました。

 なぜかといえば、速射砲を装備した高速の艦で、敵艦の装備を破壊してしまったからだと言います。つまり、沈められなくても、戦闘力さえ奪ってしまえば勝てるわけです。

 これはまさに、白色彗星の駆逐艦隊の戦い方と同じです。

ヤマトの敵が日本海軍の戦い方を披露する皮肉 §

 日本を勝利に導いた戦い方を、ヤマトの敵が実践している……という描写は、考えてみると皮肉ですね。しかし、その皮肉なところが、私は好きです。

宇宙戦艦ヤマト

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